'I feel it adds flavour and character to my music.'

Hiromi, The Princess of Jazz

By バリー クリスプ 


オリジナルのインタビューは英語で行われています。オリジナルバージョン(English)はこちら。

hiromi

 

Full Name:上原 ひろみ

Pianist/Composer

生年月日: 1979年3月26日 静岡県浜松生まれ

14歳- チェコフィルと協演。

17歳- 東京にてチックコリアと即興演奏で協演。その後NissanなどのCMソングライターとしても活動

1999 - ジャズ・ポピュラーミュージックの名門バークリー音楽院(アメリカ・ボストン)に入学

2003 - ファーストアルバム'Another Mind'をリリース

2004 - セカンドアルバム'Brain' をリリース

2005/6 - サードアルバム 'Spiral' をリリース

使用楽器- Yamaha C3 Grand Piano and Nord Lead 2 keyboard

これまでに、日本ゴールドディスク大賞<ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー>、
ジャズディスク大賞日本ジャズ賞をはじめ様々な賞を受賞

 

現在のトリオメンバー

ベース- Tony Grey (England)

ドラム- Martin Valihora (Bratislava)

 

2006年10月末にロンドンのRonnie Scott’s Jazz Clubで行われたHiromiのライブの本番前、彼女はUK-JAPANの取材インタビューを快く引き受けてくれた。魅力的でポジティブなエネルギーに溢れた彼女は、それぞれの質問に笑顔で、そしてとても誠実に答えてくれた。ジャズとロック、電子音楽、R&Bが融合した彼女の音楽は、2003年にファーストアルバム「Another Mind」のリリース以来、従来の型にはまらない新たなジャズミュージックのジャンルを創り出してきた。

Hiromiはとてもおおらかでカジュアルであり、周りの人々とコミュニケートするのがとても好きな女性、という印象であった。カジュアルなHiromiから一変し、ステージ上のHiromiに変わる時の変貌ぶりは目を見張るほどであり、彼女の中に潜んでいるもう一つの彼女自身への完全な変身を見たかのようであった。若干27歳にして既に伝説のアーティストとされている彼女にインタビューする機会を持てたことは本当に光栄であった。

 

UK-JAPAN: こんにちは、始めまして。(2日前にアイルランドで行われた)Irish Cork Jazz Festivalでのライブはいかがでしたか?

HIROMI: こんにちは!先日のアイルランドでのライブは80分位のライブだったのですが、上手くいきました。


UK-JAPAN: ロンドンまでの旅路はいかがでしたか?またロンドンについてはどのような印象をお持ちになられましたか?


HIROMI:
ロンドンまでの旅路もとても良かったです!ロンドンに来るのはこれが3度目なのですが、ライブの為の訪英なので市内観光をする時間は全く取れないんです。2年前に少しロンドンを観光をする機会があったのですが、ロンドン・アイやビッグベンはとても気に入りました。素敵ですよね!


UK-JAPAN:
ご出身地の浜松はどんなところかお聞かせ頂けますか?


HIROMI:
緑茶の生産地として最も有名なところです。あとYAMAHAのピアノ工場もあります。(現在Hiromiはアメリカのニューヨークに在住)


UK-JAPAN:
ピアノはいつから始められたのですか?


HIROMI:
6歳の時です。母がピアノのレッスンに連れて行ってくれました。


UK-JAPAN:
今までのベストの演奏はいつでしょうか?またその理由をお聞かせ下さい。


HIROMI:
それが今夜のライブであるように願っています(笑)! 演奏をする時にはどんな時でも、それが今までの人生で最高の日となるように願っているんです。時にはそれが実現する時もあるし、時には叶わないこともあるんですけどね(笑)


UK-JAPAN:
世界中をツアーで周るようになったり、知名度が上がったことなどを除くと、ファーストアルバム「Another Mind」の発売以来、どのようなことが生活において変わりましたか?


HIROMI:
うーん、今は基本的に飛行機で生活しているようなものですね(笑)


UK-JAPAN:
なるほど。それはどのような感じですか?


HIROMI:
楽しいけれども、やはりラクなものではないです。でも私は演奏することが大好きなので、このように世界中で演奏する機会を頂けるのは本当に嬉しいことです。


UK-JAPAN:
かなりお忙しいスケジュールのようですが、きっとご自分自身のことについては時間がとれないのではありませんか?


HIROMI:
そうですね。そんなに多くとれませんね(笑)


UK-JAPAN:
Hiromiさんの音楽は、本当にユニークで個性的ですよね。 Oscar petersonやAhmad Jamal、 Noriko Hakitaなどのアーティストからはどのような影響を受けられたのでしょうか。


HIROMI:
ミュージシャンに限らず色々な分野の方々から影響を受けています。彼らから気付かされるのは、いつでも自分は「オリジナル」であるべきであり、音楽で伝えたいことを強く持ち続けるべきだということですね。私は誰かの「真似」にはなりたくはないんです。私が好きな全てのアーティストに対するリスペクトの方法は、その音楽を「食べる」こと、私の血や骨の中まで取り込んで、そして自分自身の個性を作り出すために、できるだけ異なった方法を使いながらチャレンジしていくことなんです。


UK-JAPAN:
いわゆる「スリーピースジャズ」の「Spiral」のアルバムでは、テンポ感等が移り変わるにつれて、様々なフィーリングが呼び起こされ、雰囲気が変わって行きますよね。このアルバムを作るにあたって念頭に置いていたことなどはありますか。


HIROMI:
私は自分のバンドを「3人編成のオーケストラ」のようにしてみたかったんです!ジャズミュージックでは、多くの場合、メインの演奏者がいてそれに対して他の演奏者が伴奏を付けるような形式の曲が多いですが、私は3人全員を「メインディッシュ」にしたかったんです。なので、時々私たちは役割を交替して、たとえばドラムが「メインディッシュ」になって、その時には私はピアノの打楽器的要素を活用してドラマーの役割になったりします。主にグルーブ感を出す役割を担っているベースも、時には高いほうの弦を使ってメロディックな役割を果たすこともあります。私たちはそれぞれ、リズミックな面とリリカルな面を両方持っているので、いつもリリカルな役割とリズミックな役割を順番に交替しているような感じなんです。


UK-JAPAN:
Hiromiさんの音楽の根底にあるメッセージとは何でしょうか。


HIROMI: 
「Passion」と「Love」ですね!私は私が本当に愛している音楽を弾いているし、自分の心の底から本当に湧き出たものを弾いています。その湧き出てきたものが何であるにせよ、ね(笑)。それが「アート」であっても「音楽」であってもどちらでも構わないんです。たとえ視覚的なものだとしても、それが見ている人の「目」に対して訴えかけるわけではないですよね。例え聴覚的なものだとしても、聴いている人の「耳」に対して届くわけではなく、それはダイレクトに「心(スピリット)」に届くと思うんです。そしてそれこそが私が目指していることなんです!


UK-JAPAN
:
近年「Spiritual Criativity (Spirativity)−精神的な創造性」という新しいコンセプトが提唱されていますが、ちょうどHiromiさんの目指しているところと重なるところがありますね!


HIROMI:
その通りですね!


UK-JAPAN:
: ベースのTonyさんとドラムのMartinさんとはどこで出会われたのでしょうか?現在の関係はどのような感じですか?


HIROMI:
ボストンのバークリー音楽院で知り合いました。3年半ほど一緒に活動していますが、ずっと仲は良いですよ。小さなくだらないケンカはしょっちゅうしますけどね(笑)。でも私たちはいつでもお互いを尊敬しているし、音楽を愛するという気持ちによって、いつでもしっかりと繋がっているんです。


UK-JAPAN:
彼らはそれぞれ個人としてもアーティストなわけですが、ツアーや仕事などを一緒に行う時間はどのように取っていらっしゃるのでしょうか。


HIROMI:
彼らは本当に忠実に私の音楽に専念してくれているんです。彼ら2人が私のバンドにいてくれて私は本当に幸せだなと思いますし、彼らのことを本当に尊敬しています。


UK-JAPAN:
演奏中、Hiromiさんとバンドの間には明らかな「対話」がありますよね。Hiromiさんご自身とピアノとの間には、演奏中どのようなスピリチュアルな対話があるのか、お聞かせ頂けますか?


HIROMI:
ピアノと私の関係は、いつでもブラインドデート(初対面のデート)みたいなものなんです!毎回違ったピアノと出会うわけですしね(笑)。私は、たとえばベーシストが自分の楽器を持ち歩くのと同じように、自分のピアノをライブ会場に持っていくことはできません。なのでライブ会場に到着するといつも、どんなピアノが私を待っているか少し緊張するんです。時には弾きやすいピアノだし、時にはとても弾き難いピアノだし。良いピアノと出会えることをいつも願っているんです。


UK-JAPAN:
今夜の楽器はいかがですか?


HIROMI:
かなり弾き難いですね。少しおもちゃのピアノみたいな感じがするというか・・。でも、そのピアノと出会ったからには他に選択権はないですし、良い「デート」(笑)をしなくちゃいけないので、そのピアノを喜ばせて最大限の結果を引き出せるように、努力しています。


UK-JAPAN:
演奏中、Hiromiさんご自身の中でたどり着く場所のようなものはありますか。


HIROMI:
そういったものはないですね。私にとっては、演奏中、2つの面を持つことが求められているんです。演奏者にならなくてはいけないのと同時に、プロデューサーにならなくてはいけない。なので外界のどこかに自分の身を置いた状態で、自分の音楽を生み出していく必要んがあるんです。演奏者の立場だけではいられないんです、そうでないと全体的な視点で見られなくなってしまいますからね。私の立場的には、広い視点が必要なんです。


UK-JAPAN:
Hiromiさんは、グランドピアノと電子キーボードを見事に融合することに成功されてますよね。この二つの楽器の関係についてお聞かせ頂けますか?


HIROMI:
キーボードを使い始めた最初の理由は、ギタリストやベーシストが使用するベンディングサウンド(音程を変化させること)が大好きだったからなんです。ピアノでは音程を変化させることはできないんですが、あのベンディングの感覚がとっても好きで・・。風味やキャラクターを音楽にプラスしてくれる気がするんです。


UK-JAPAN:
Hiromiさんが小さい頃、Hiromiさんの先生でいらっしゃった疋田範子先生は「ここは赤い音」「青い音」というように色で指定してピアノを弾くというレッスンも行っていらっしゃったとお聞きしましたが、Hiromiさんはご自分のお好きな色はありますか。またその色はどのようにご自分を表していると思いますか?


HIROMI:
私は全ての色が好きです。本当にどんな色でも好きなんです。きっと一つの色だけではハッピーにはなれない気がします。


UK-JAPAN:
現在のHiromiさんの人生を最もよく表している色は何色だと思いますか?


HIROMI:
うーん、分からないです(笑) でも、「黒」と「白」はいつでも好きです。シンプルだし、ピアノの色ですし。


UK-JAPAN:
全部真っ白なピアノ以外は、ですけどね(笑)


HIROMI:
そうですね、でもあの種のピアノはそんなに好きではないんです(笑)


UK-JAPAN:
Hiromiさんの音楽は、人間としての成長にはどのように影響しましたか。


HIROMI:
音楽は私に、どのように常に忍耐強くいるか、集中するか、またいかにして私自身の中の集中力を鍛えるかを教えてくれました。


UK-JAPAN:
Hiromiさんのヘアースタイルはいつでもランダムでとってもお洒落ですよね!音楽との対照的な関連性は何かありますか?


HIROMI:
そうですね。私は髪型を色々いじるのが大好きなんです。アーティストによっては、ただ舞台に出て行って弾くだけの人もいますよね。それに対して異論を唱えるつもりはないけれども、でもあの方法はあんまり好きじゃないんです。ライブに来てくださる方々は、貴重な時間を割いて私のライブに来てくれて、彼らの人生の中の2時間を私とシェアする機会を与えてくれているんです。それに対して私は、視覚的にも、サウンドも、全ての面において私のできるベストを尽くしたいと思うんです!


UK-JAPAN:
髪型のセットはどなたがされているのですか?ご自分でされているのですか?


HIROMI:
そうなんです!(笑)


UK-JAPAN:
へええ!凄いですね!!


UK-JAPAN:
Hiromiさんが人生において大切にされているモットーのようなものはありますか。


HIROMI:
周りの方々に親切にすること、そして周りの人達をハッピーにすること、です(笑)


UK-JAPAN:
Nashvilleでレコーディングされた次のアルバムは2007年3月に発売予定ですよね。このアルバムについて少しお聞かせいただけますか?


HIROMI:
2007年3月27日に発売予定です。今回のアルバムは、トリオに一人のギタリストを加えた、4人編成のクワルテットになる予定です。きっとベースで更にしびれますよ。


UK-JAPAN:
発売を楽しみにしています!


HIROMI:
ありがとうございます!


UK-JAPAN:
これからの将来のご予定や夢はありますか。


HIROMI:
音楽を弾き続けていきたいということですね!(笑)


UK-JAPAN:
前に、映画のサウンドトラックをやってみたいということをお話されていたことがありましたよね。


HIROMI:
そうなんです。実は、実際今まさに、日本の映画のサウンドトラックを担当させて頂いているんです!まだ映画の名前はここでは言えないのですが・・。ゴメンナサイ!


UK-JAPAN:
いえいえ、そうですよね(笑) それでは、アーティストを目指している方達に何かアドバイスはありますか。


HIROMI:
まさか!(笑) アドバイスできることなんて何もないです!むしろ私の方が何かアドバイスを頂くべきです!何かお教えできることなんて本当に何もないし・・、私自身まだまだ未熟ですし(笑)、何かアドバイスを下さい・・・。


UK-JAPAN:
はははは(笑)! ご自分の音楽を向上に役立てるために、何を行っていますか。



HIROMI:
とにかく一生懸命すること(笑)!やりたいことができるようになるまで、一生懸命し続けることですね!人間は誰でも違うスピードで、違う方法で上達していくと思うので、じっと忍耐しながらとにかく一生懸命やり続けることですね!


UK-JAPAN:
毎日欠かさず行っていらっしゃることはありますか?


HIROMI:
良く食べることです!食べること大好きなので!(笑)


UK-JAPAN:
食べ物ではどんなものがお好きなのですか?


HIROMI:
美味しいものなら何でも!(笑)


UK-JAPAN:
「良い」アーティストと、「素晴らしい」アーティストの違いって、何だと思われますか!


HIROMI:
ええーーー!(笑)難しい質問ですね!私が思うに、「素晴らしい」アーティストしか存在しないと思います。でも個性やオリジナリティの面では「良い」アーティストと「素晴らしい」アーティストに分かれますね。何をして、どの位人々を感動させることができるか、という点ですね!アートって、生活に絶対不可欠なものなわけではなく、人間は睡眠と食べ物さえあれば生きていけますよね。それなのに何故人々はアートを求めるのか?それは人々が様々な感情や感動を味わいたいからだと思うんです!なので感情が動かされて感動できる物こそが「素晴らしい」アートだと、私は思います!


UK-JAPAN:
特にどのようなことからインスピレーションを受けていますか?


HIROMI:
どのようなものでも。それはアートの場合もあるし、誰かとの会話である場合もあります。どんなものでも全てのものがインスピレーションを与えてくれる可能性があると思います!


UK-JAPAN:
ライブでステージに上がる前には普段何をしていますか?


HIROMI:
ストレッチです!(笑)


UK-JAPAN:
今日はお時間をお取り頂き、本当にありがとうございました!


HIROMI:
こちらこそありがとうございました!


 

関連サイト:Hiromi's website: www.hiromimusic.com

関連記事: Hiromi at Ronnie Scott's Jazz Club - 29.10.2006

    

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