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アーティストインタビュー
特集−女性落語家 笑福亭笑子

By Barry Crisp


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本名: 小野 綾子

生年月日: 1968 年 12 月 28 日 - 日本・神戸出身

芸名: 笑福亭 笑子

肩書き: 落語家 / 腹話術師

落語: 日本の伝統芸能で、演者が舞台の上で正座しながら面白おかしい話をする芸のこと。

腹話術: パペット(人形)を使った話し芸のこと。


回のインタビューは、落語家として活躍中の小野綾子さんです。UK-JAPANは、暖かい土曜日の昼下がりに若者に人気スポット、コベントガーデンのはずれで小野さんとお会いしました。

恵まれた天気と快くインタビューに応じてくれた小野さんに感謝しています。当日、小野さんは鮮やかな黄色と黒色の服を着ており、彼女らしい個性が現れているようでした。

UK-JAPANは、小野さんのような笑いや娯楽、幸せをUKの観客に届けてくれる素晴らしい女性にお話が聞けてとても光栄です。

 

UK-JAPAN: こんにちは。お元気ですか?

SHOWKO: 元気ですよ。有難うございます!(頷いて笑う)

UK-JAPAN: 小野さんの出身地について教えてください。

SHOWKO: 神戸ね。(笑) 私は神戸育ちで、そこは日本でも美しい都市の1つです。阪神淡路大震災が起きる前は、たくさん古くて素晴らしい建築物がありました。市自体はとても小さいけど、いっぱい緑もあって山もあるんですよ。けれど大地震の後は多くのものが壊されてしまいました・・・。そのせいで私は大阪に引っ越しして、ラジオ番組のパーソナリティを始めました。

今でも神戸に帰るたびに、何か淋しいものを感じますよ。けれども相変わらず神戸は洗練されているなぁと感じます。

UK-JAPAN: 神戸と大阪の人たちとで何か違いますか?

SHOWKO: (くすっと笑って) 。関西出身の人って、気が強くて面白くて親切な人たちが東の東京の人たちに比べて多いです。京都はもっと遠まわしな人たちが多いし、神戸は少しお高くとまっていて、大阪よりもあまり親しい感じがしないって言えるかも。けれど、私も大阪に引っ越したら大阪人的な思考に変わってきてしまって、例えば、買物で値切ることとか (笑) 。ホント大阪って面白い人たちが多いですよ。私なら絶対に大阪以外で値切ったりしませんから!

UK-JAPAN: いつから落語に興味を持ったのですか?

SHOWKO: いつも落語をテレビで見ていたので、それで興味を持ったんだと思います。2000年に初めて生の落語を見に行って、その時落語家になろうと決めたんです。当時はラジオアナリストをやっていて、でもずっと心の中では、エンターテイナーになりたいと思っていたんです。

それからは、お気に入りだった師匠に弟子入りをお願いしに何度も行って、最終的に認めてもらい、仕事も辞めて師匠の家に住み込みで修行することになりました。

UK-JAPAN: 仏教の修道僧が寺に住み込むような感じですね。

SHOWKO: (笑) そうですね、ほんとそんな感じ。当時はそんなに女性芸人がいなかったので、楽しくて女性というだけで得した気分があったけど、今はどんどん女性落語家が活躍しているので。

UK-JAPAN: 落語って初めにどんなトレーニングをするのですか?どんな訓練をしてきたのですか?

SHOWKO: まずは、太鼓の練習を舞台裏の仕事をしながら始めて、演技の訓練もしました。日本にいた頃は交通安全指導を人形を使って、子供に教えていたことがあります。アナウンサーや司会業をやって馴れていましたから、色んな試みをエンタテーナーとしてやってきました。落語はシンガポールで師匠から教わって、最初は腹話術のネタを披露していました。

UK-JAPAN: どんな話を初めにしたのですか?

SHOWKO: 「猿の話」という伝統的な落語の短いお話です。師匠の演技をそのまま真似し、私が英語に訳してから自分流の作品を作り上げていきます。そしてまた師匠から色々とアドバイスを受けています。

UK-JAPAN: 落語の歴史についてもう少し教えてください。

SHOWKO: 落語家には3つの門派があります。1つ目は江戸(東京)生まれのもので、「お座敷」(芸者が宴会などで演技を披露する場所)が起源です。三味線(ギターに似た伝統的な日本楽器)が演奏されている間に落語が語られてました。2つ目は京都のお寺が発祥で、語り継がれていったもの。3つ目は、大阪の大道芸といわれるもの(右腕でジェスチャーをしてみせる)です。木製の小拍子で話が変わる間に音を鳴らす感じのスタイル。大阪落語は音が多くて騒がしいんですよ。(笑)

UK-JAPAN: 初公演までどれくらいトレーニングしたんですが?

SHOWKO: 1ヶ月ですよ!生公演の方がはるかにいい練習になりますからね。たくさん披露すればするほど、反省を生かして上達できるでしょ。完璧な人間じゃないからこそうまくならなきゃって自分に言い聞かせてます。

UK-JAPAN: 公演に備えてどんなことをしてるんですか?

SHOWKO: 台本を覚えようとしたり、繰り返して筋書きを見ないようにしています。その代わり、気持ちを落ち着かせるために周りの人を笑わせたり、水を飲んだりしてます。無駄に発声の練習なんかもしません。

UK-JAPAN: いつから腹話術を習い始めたのですか?小野さんは、それを落語と組み合わせてどんな感じにしているんですか?

SHOWKO: 1990年から習い始めました。以前に人形だけを使って落語風に「桃太郎」を演じたんです。でも落語はパロディ(くだけたギャグ)で、人を笑わせるためのものであって、物語を伝えることじゃないので、お客さんには予め話を知っている上で落語を聞いてくれるといいんですけどね。ロンドンではずっと、伝統的な落語を演じる方が人形よりウケるんです。英国人も型にはまった落語の方に興味をもっていることが分かったし、扇子や手ぬぐいを使ったりする落語が面白いみたいです。

UK-JAPAN: 人形を使った演出ではどんな工夫をするのですか?

SHOWKO: より視覚効果を使って多くの人たちを巻き込みます。落語はすごく繊細な芸だから、お客さんが惹いたり想像したりするのは結局、お客さん次第になってしまうんです。

UK-JAPAN: あなたの芸名「笑福亭笑子」の由来は何ですか?どんな意味なんですか?

SHOWKO: ええと。(笑) 「笑福亭」は、400百年続いている歴史ある落語一門の継承名です。「笑子」は師匠の「鶴笑」という名前からとりました。「鶴」は、ツルという意味で、「笑」は笑うという意味なので、師匠の「笑」と、子供という意味の「子」を合わせて「笑う子」、「笑子」と付けました。

UK-JAPAN: 小野さんはほんとうにたくさんラジオやテレビ、クラブやフェスティバルなどで活躍されていますが、今まで一番感動的だった舞台はありますか?どんな感じでした?

SHOWKO: しいて言うなら、一番初めの舞台ですね!一生懸命に自分を表現するあまりとても神経質になってました。ところが見事フィリピン人のお客さんの前で(英語で)受けたんです。これでよかったんだとホッとしたことを思い出します。けれどその後、ロンドンの日本大使館で初公演をしたのですが、その時は師匠、お客の反応を期待しすぎるなと注意したのです。要は、英国人はとても物静かで反応が分かりにくいから。それでも、予め男の子、女の子向けの台本を用意していたのですが、結局そこには男の子しかいませんでしたし。

UK-JAPAN: 英国にはどのくらい住んでいますか?渡英した理由は ?

SHOWKO: 今年で3年目になります。初めに来たのが2004 年 3 月で、師匠が英国で活動をしたがっていて一緒に来ました。

UK-JAPAN: こちらではどのくらいの頻度でセミナーや公演をしているのですか?

SHOWKO: だいたい週1回かな。でも前は週3回の時もありました。普段は、セミナーをしてから公演して、またその逆もしかり。日本と比べると、ここの人たちは明らかに落ち着いていて余裕がありますよ。思うに「だらだら」と(長く引きずる様子)で進めていくと、とても退屈に感じてしまいますが、英国人はこのだらだら感が好きみたいです。

UK-JAPAN: セミナーではどんなことをやっているのですか?

SHOWKO: まずは日本語での歌や踊りで雰囲気をなごませます。これが子供たちに大ウケ(笑)。それから、落語をコメディ風に分かりやすく紹介し、子供たちに実演じてもらいます。その時は必ず靴を脱いで正座してもらいます。そして、いくつか身振りをつけて短いお話をしてもらいます。あとは、「玉簾」(竹でできたのれん)で違う物を作って、それの作り方を教えたり、実際に挑戦してもらいます。師匠の方は、紙切り芸を披露します。ハサミと白紙だけであらゆる形を作っていくものです。一通りやって最後は伝達リレーのように、私が一つ話をして、師匠が人形に話し、私が人形を操ってジョークを交えた感じで終わります。

UK-JAPAN: 日本人と英国人との文化的なギャップを感じたことはありますか?

SHOWKO: そうですね。英国人の友達を作るのが難しいことかな。関西人の方がここよりもっと社交的だと思います。うまく言いにくいけど、何しろ日本には丸2年戻ってないですし、シンガポールにも6年いて、それからロンドンに来ましたから。

UK-JAPAN: 日本が恋しいですか?

SHOWKO: もちろん!日本のトイレとか食べ物が恋しいです。トイレで2時間も眠りこんでしまったことがあります。日本のトイレという空間はいつでも気持ちよくて、どんなことがあっても温かく迎え入れてくれるんですよ。トイレに愛されているような感じかな!(笑)よく、このネタを公演の中で話しするけど、お客さんさんからも大好評ですよ!

UK-JAPAN: お客さんの反応で、日本人と英国人の違いってありますか?

SHOWKO: 英国のお客さんは、喜ばせるのが一番難しいです。というのは、コメディに対する評価がとても厳しいから。他の国だと反対にごく簡単ですけど、ここに来てからは英国の「笑い」に順応していかなければいけませんでした。だから、イギリス英語でたくさんのユーモアを加える努力をしています。日本では一方的なお客さんのコミュニケーションがほとんどですが、ここではそれが通用しないんです。

UK-JAPAN: どんな人たちが落語の公演に来るのですか?

SHOWKO: 老若男女問わず、でも大半は家族連れですね。日本ではもう少し大人の方が多いけど、英国では、ちょうどいい具合に大人と子供が来てくれます。

UK-JAPAN: 作品に影響を与えているものって今ありますか ?

SHOWKO: 作品を大きく変えることはしないんです。一度原作から話を変えてみたことがあるのですが、うまくいきませんでした。あとは、たくさんの英国コメディを見たり、英国人のユーモアセンスを勉強しています。それと、コメディクラブに行ったり、ミニ公演を開いたりして、英語力も含めて演技も上達させたいと思ってます。

UK-JAPAN: 落語家や腹話術師を目指している人たちに何かアドバイスをください。

SHOWKO: 落語を聞いてその当時の日本がどうだったか体感できるし、落語の世界の面白さが分かります。テレビやゲームのように何でも視覚的に捉える世の中になっていますが、落語は逆に想像力を働かせるものです。聴いてくれるお客さんたちは先生だと、いつも師匠は言っています。だから、お客さんの前で練習しなさいとね。落語で大切なことは、間のとり方やタイミングで、お客さんに何かを感じとってくれなる空気が大事なんですね。そういった感覚って、練習や感性の中でしか学べなくて、直接習得できるものじゃないんです。

UK-JAPAN: 今後の活動予定や目標など聞かせてください。

SHOWKO: 伝統的な落語をもっともっと英語で紹介していきたいです。それも旅をしながら世界各地を巡回公演なんかして。もう少し子供が大きくなった後かな。あとは、英国人の俳優や演出家とも仕事をしたり、もっともっと英国コメディを深く掘り下げていったり、ちょうどいいバランスで人形と落語を融合させて作品を作り上げていきたいと思っています。目指すは師匠です。

UK-JAPAN: どのくらいかけて台本を英訳しているのですか?

SHOWKO: 台本の翻訳には1週間かけ、それから編集をかけます。その後芝居にとりかかり、また変えたりと。

UK-JAPAN: 小野さんの座右の銘は?

SHOWKO: 「人生は無限だから自分を信じれば何でもできる。楽しく過ごすこと!」

UK-JAPAN: もし自分の人生を1つの色で表すなら何色にしますか?その理由は?

SHOWKO: んー(笑) 黄色です!人生はひとつのホームコメディのようなものだと思うんです。だから若々しい感じで黄色かなと!(笑)

UK-JAPAN: 小野さん、今日はお忙しいところ有難うございました。

SHOWKO: こちらこそ。楽しかったです!

 

Showko のウェブサイト : http://www.show-ko.com

 


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